れとろげ。

ファンタジー風創作小説『ようこそ麒麟亭へ』

2010年03月18日

非実在アンタッチャブル


 巷を騒がせている「非実在青少年」表現規制のお話。

 私も、クリエイターを名乗って良いものかいまだ疑問を抱きつつ、
いちおう反対署名をしてきましたが、
一口に反対と言ってもいろいろな立場・観点があり、
それがゴッチャになっているのが話をややこしくしていると思うのですね。

 整理するとこんな感じでしょうか。



 1) 自分は健全な紳士としてえっちな漫画などを楽しみたいので、規制されると困る。


 大きな声で主張するのは多少はばかられるかもしれませんが、間違ったことは言ってません。
 他人様の迷惑にならない範囲であれば、個人的な趣味性癖の自由は保証されるべきでありましょう。

 なお、誤解されがちですが、この問題はポルノ描写に関してばかりでなく、
条文を忠実に適用するならば、金田一少年みたいに被害者や加害者が18歳未満のミステリー漫画や、
少年格闘漫画みたいなものも将来的に規制の対象とされる可能性があると思われます。




 2) 規制の定義・範囲があいまい。行政の恣意的な判断でなんでも規制が可能になる。

 例えば、「青少年に良い影響を与えるようなテーマと、性表現とが混在しているような作品」があったらどうなるのでしょう。
 どだい、漫画やアニメやゲームといった複雑な創作物を1本のラインだけで判断・規制しようとすることに無理があります。

 では、「規制はまったくせず野放しで良いのか」と言われそうですが、


 3) 『青少年に見せてはいけない ⇒ 作ったり売ったりすることすらいけない』 という前提と結論との間に飛躍がありすぎる。

 まぁ、こういうことですね。
 要するに漫画やアニメといったものは世の中から消えてしまっても全く差し支えない、と考えているからこういう発想が出てくるわけです。


 こういう話が出るたびに、私はいつもこう思います。

 では、なぜ飲酒をもっと厳しく規制しないのか。

 飲酒によって引き起こされる交通事故や殺傷事件の被害者は、
漫画やゲームに影響を受けたといわれる事件の何千何万倍にものぼり、
しかもアルコールと事件との因果関係も、医学的・科学的に完全に疑う余地なく証明されている。


 にも関わらず、成人の飲酒じたいには何の規制もなく、
未成年に対してもチェックは非常に甘い。ちょっと見た目が老けてればコンビニやスーパーで普通に入手できる。

 もっと根本的な規制が必要ではないのだろうか。

 
「たしなむ程度で、問題を起こさなければ良い」
「飲酒にはガス抜きという側面もある」
「酒造や飲食業で生活している人たちが困る」


などといった反論は、そっくりそのままお返しいたします。


 表現規制の必要性を頭から全否定はしません。

 しかし私が表現規制の議論に参加するとしたら、
それは日本に完全禁酒法が成立したときになるでしょう。

 飲酒という諸悪の根源、悲劇の元凶、犯罪の温床を取り締まることに比べれば、
そんな瑣末な事柄は、議論するにも値しないのです!




 あ、マスター! ボストンクーラーもう一杯!


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Posted by 白川嘘一郎 at 01:29│Comments(7)お仕事
この記事へのコメント
飲酒と喫煙の取り締まりについての温度差は、どう見ても異常とも言えますよね。
煙草は吸わない私にすらそう映るのですから、喫煙者にしてみれば余計そう見えるでしょうね。
喫煙者の迫害にしろ今回の事にしろ、その本質は同じだと思います。

これの問題点は、非実在青少年云々の規制もそうですが、“青少年を無菌室で純粋培養したい”本音が見えている事なのかも知れません。
考えすぎだとは思いますが、いずれ教育課程における保体の授業やら生物分野にまで手入れされる事、大人と子供の隔離を提案するするようなアホが出て来る事を危惧しています。

取り敢えず、最後の一行でそうやってひっくり返す技法は大好きです。
Posted by 市藤勇美 at 2010年03月18日 12:05
より正しく言えば、

 「規制団体を作ることで金を集めたい方々」
   +
 「"人権”を盾にされると大っぴらに反対できない政治家」
   +
 「煽りに乗せられる無知な市民」

という構造でしょうね。
慰安婦問題なども全てこの図式だと思います。

面白いのは、それらの中にはほとんど“健全”に育った人などいないだろうということですね。
青少年が性に興味を持つのは当然でしょうにw
Posted by 白川嘘一郎白川嘘一郎 at 2010年03月18日 12:12
「18歳未満にみえるキャラクターを「非実在青少年」と定義し、その性描写がある漫画などの販売や貸し出しを規制する」
とありますが
・・・そもそも、現実世界でも童顔で実年齢より遥かに若く見える(下手すれば未成年に見える)人物(金田朋子等)実在しますよねw
なので、この規制は前提からして間違っていると思います(^-^;)
Posted by カビゴン at 2010年03月18日 12:57
そこもありますね。
H×Hのビスケとか、(性描写はないけども)
見る人が「これは18歳未満にしか見えない!」と言ってしまえばそうなりますからね。
絶対違うけど。
Posted by 白川嘘一郎白川嘘一郎 at 2010年03月19日 11:36
取りあえず今回の問題は、議論が足りないという事で継続審議になったので、一息つけましたが…、
いつになったらサブカルチャーへの締め付けが収まるのやら。いい加減にして欲しい物です(^^;)
Posted by JJ at 2010年03月19日 17:56
サブカルチャーをサブカルチャーのままにしておいてはいけない。
もはや漫画・アニメ・ゲームは映画や音楽、舞台と等しく
メインカルチャーとして世界を席巻すべきものなのだ。

この時代には、次世代のコンテンツから、「悪しきレッテル」を剥がし忘れた
おろかな旧人類が巣くっている。
彼らの怒号を、啓蒙の号砲としようではないか。

やがて華々しい歓声へと生まれ変わり、そのとき我々は先駆者となる。

サブカルチャーをサブカルチャーのままにしておいてはいけない。
サブカルチャーをサブカルチャーのままにしておいてはいけない。
サブカルチャーをサブカルチャーのままにしておいてはいけない。
これは大いなる停滞であり、人類文化に対する裏切りだ。
断罪すべし。
Posted by KKDANISM at 2010年03月29日 22:04
そうですね、世界を席巻すべきかどうかはさておき、
すでに漫画・アニメ・ゲームはサブでも特殊でもない一般的なメディアです。
それがわからない人には危機感をおぼえるのでしょう。

と言うか、メディア論や芸術論を持ち出すまでもなく、
『規制が必要だという根拠を、データを添えて論理的に示せ』
の一点張りで済む問題だし、
そうすべきだと思うんですがねぇ。


酒の話を持ち出したのは、単に「もっとひどいものがあるからそっちを先にやれよ」ということではなく、
科学的に悪影響が証明されているアルコールの規制強化のロジックすら確立できないのならば、
表現規制のロジックなど確立できるわけがないからです。
論理的に成り立っていないものに、いくら「反論」しようとしても意味がありません。

だからどんどん本題からズレていって、規制派の揚げ足取りを許してしまうんですよ。
Posted by 白川嘘一郎白川嘘一郎 at 2010年04月01日 18:12
 
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