れとろげ。

ファンタジー風創作小説『ようこそ麒麟亭へ』

2008年08月01日

『純喫茶磯辺』

純喫茶磯辺



郊外にある映画館のレイトショーで観て来ました。
私以外の客は3人。意外に多かったです。

妻に逃げられ、高校生の一人娘と暮らす主人公が、
ある日転がり込んで来た遺産を元手に、計画性もなく行き当たりばったりで喫茶店を始める、というお話。

完成したお店『純喫茶 磯辺』は、
名前の通り開店早々レトロで場末な雰囲気の漂うセンスの産物。
おしゃれなカフェの幻想を抱いていた娘は呆れてものも言えない。
やって来るお客やバイト志望者も、皆一癖も二癖もありそうな変人ばかり――。

主人公であるダメ親父役に、すっかり芸人としてより俳優として定着してしまった雨上がり決死隊の宮迫を起用し、
邦画界期待の新鋭 吉田恵輔の監督・原作・脚本・編集でおくる……おくる……何だろう?
コメディということになるんだろうけど、どうもうまく説明できない。
そもそも映画を観ているという気があまりしない。

設定やストーリー、役者の顔ぶれなどを見ていると
三谷幸喜やクドカンの路線を連想してしまうが、
映画やPVの照明出身だというこの吉田監督は、そういった演劇ルーツの監督とはむしろ真逆である。

この作品の特徴は、何と言っても「リアルで微妙な日常の空気感」の演出に尽きる。
普通ならばありえない、役者が口ごもったりどもったりしているシーンをあえて使い、
年頃の娘の父親に対する言葉遣いや態度、さらには小道具の配置や使い方まで、
徹底して「あー、あるある」と思わずうなずいてしまうほどのクオリティで作りこまれているのだ。

いま目の前でこんな会話をしている人が実際にいてもおかしくない、
そんな圧倒的なリアル再現力。
邦画史上でもトップクラスではないかと思わせる凄まじい才能であるが、
問題はその才能が、「米粒に般若心経を書く人」とかと同質のものであると言うか、
映画を観に来た一般のお客を満足させる上で必ずしも役に立っていないのが難点である。

あとほんのちょっと、3%ほどでいいからエンターテイメント寄りの演出を入れれば
もっと良くなるんじゃないかと思った。


女子高生の娘役には仲里依紗
ドラマ版『ハチワンダイバー』でメイド姿を披露したりして評価急上昇だが、
そんな彼女を使いながら、ウェイトレスの制服を一度も着せないあたりとか、
表現者として無欲と言うかストイックすぎると言うか、
ちょっともったいないような気がする。


7月で終わるんじゃないかと思って慌てて見に行ったら案の定、
来週末ぐらいには公開終了っぽいので、興味のある方はお早めに。
http://www.isobe-movie.com/



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