れとろげ。

ファンタジー風創作小説『ようこそ麒麟亭へ』

2009年02月02日

本当はヤバくない日本ゲーム業界(下の1)

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前回:本当はヤバくない日本ゲーム業界(中)




 「かねてから観察眼と分析力にかけては定評のあった白川嘘一郎が
    7年の隠遁生活を経て社会知識を身に付けて帰ってきた!
    その姿、まさに希代の名軍師・陣宮のごとし!
    彼が語るゲーム業界《天・地・人》3つの秘策とは果たして……!?」




「……そうやってハードル上げるのやめて、お願い。
 て言うか諸葛亮でも周瑜でも郭嘉でもなく陣宮て。
 いや確かに三国無双でプレイヤーキャラになるのを待ち望んでるけども。

 んじゃまぁ1つ目、“天の道”から行きましょうか。
 大げさな呼び名を付けてみたけど、要するにこれが3つの中でもいちばん実現困難そうな理想論ってことなんだけどね。

 あと、空から降る電波、すなわちTVメディアの暗示でもある。




 「そうか、ニンテンドーDSもTV画面に繋げてプレイできるようにすればいいんだ!」




「タッチペンはどうするんだよ。画面のアラが目立つし。
 そうじゃなくてだな、私はかねてから疑念を抱いていることがあるんだ。
 それは、ゲーム業界とTV業界との間の深い断絶についてだ」


 「断絶?」




「だって不自然だと思わないかい?

 同じエンタメ産業でも、音楽や映画は執拗なまでにプッシュするくせに、
 ゲームに関しては、新作ハードやドラクエの発売日にちょこっとニュースが流れる程度で、
 あとはサッパリじゃないか。
 せいぜい深夜と土日朝とテレ東夕方のアニメとか、もともとゲーム寄りのコンテンツがちょこっとタイアップしてるぐらい。

 メーカーがお金を出してようやくCMを流してもらえるけど、
 内容についてはスルーどころか、犯罪が起きればゲームのせい。

 もうゲームは一部のマニアだけのものではないのにね。
 今や浜崎あゆみのCDを買う人間より、『モンスターハンター』を買う人間のほうが多いんだぜ?」



 「なるほど、言われてみればその通りだね。
    見つけたぞ、世界の歪み!

「たとえばゴールデンタイムに、
巷では『モンスターハンター』というゲームがブームで、
これはこういうゲームで、こんなふうに作られて、こんなふうに遊びます、
みたいなドキュメンタリーが流れても、商業規模的には不思議じゃないぐらいなんだ、本来は」



 「じゃあどんどんやればいいのにね。
    そうやってブームを焚き付けて、さらにたくさんの人間に買わせて、
    自分らは大したリスクを負うことなく山分けでウハウハって彼らの得意技じゃん」




「どうも彼らは、ゲームやネットはTVの敵だという強迫観念に取り憑かれているようだからな……。

 ファミコンの時代は、ゲームをあまり持ち上げると、
 家計のヒモを握ってるお母さん方のご機嫌をそこねる危険があったけど、
 その頃のタブーをいまだに引きずってるのかもしれない。

 でも今のゲーマーは、自分のお金で買ってる高校生や大人も多く、
 TV業界から見ても立派な消費者層であり、お客の一角だからね」



 「せっかくDSでゲームユーザーの層が広がったんだから、
    積極的にドラマやなんかと提携させればいいってことだね」




「ドラマとゲームソフトの制作スパンには差があるので
 プロジェクト段階から工夫が必要だろうけどね。

 例えばドラマが好評で映画化もされた『ガリレオ』
 今ちょうど、『ヴォイス』や『キイナ』あたりが2匹目のドジョウを養殖しようと頑張っているみたいだけど、
 実はこの『ガリレオ』はアニメ絵調でDSのゲームにもなっていて、初動で1万2000本ぐらいだったかな、
 同時期の『天誅4』や『采配のゆくえ』と同じぐらい売れた。




 
 SIMPLEシリーズの推理物ADVなんかを手がけるトムキャットの開発で、
 おそらく映画公開中に間に合わせるため、何よりもまずスピード重視で制作されたと思われるが、
 ちゃんとドラマや映画に併せたプロモーションを行って、内容も連動させていれば、さらに売れたんじゃないかな。

 定価5000円として、2万本売れれば1億円、
 20万本売れれば、劇場版の興行収入の5分の1の10億円の売上だ。
 理想としてはそこまで荒唐無稽な数字ではないと思うがね」


 「新たに生み出すリスクを嫌うんだったら、
    すでにあるゲームコンテンツから、アニメ以外へのフィードバックがもっとあってもいいよね。
    コミックのドラマ化は、味をしめたのか最近さかんにやってるけど」

 


「そう、ストーリードラマにこだわる必要もない。
 既存のもので言えば『レイトン教授』とか、そのまま実写ドラマ仕立ての謎解きバラエティに出来るだろ。
 おバカ系タレントや雛壇芸人に頼ることのない、真に知的でスタイリッシュな知能番組の誕生だ」


 「どっちにとってもおトクなWin-Winの関係のような気がするんだけど
    どうしてもっと積極的にやろうとしないのかな?」




「さあねぇ。  アホだからじゃないの?

 またちょっと本題から脱線してしまうけど、
 これこそがゲーム業界を苦しめる“資金の出し渋り”の元凶の一端だと思うので
 あえてここで語らせてほしい。


 2007年の新潟県中越沖地震において、柏崎刈羽原子力発電所の対応や被害状況が
 マスコミによって盛んに叩かれ、大きな風評被害を受けた。
 ところが海外の反応はどうだったと思う?

 震度6の大地震にも関わらず深刻な事故を引き起こさなかった日本の原発の安全性が高く評価されたのさ。

産業/東芝、米で原発2基を受注 - FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200901070018a.nwc


 ちなみに今、全世界の原子炉開発は、
 東芝傘下のウェスティングハウス・エレクトリック、三菱と業務提携したアレヴァNP、
 日立と経営統合したゼネラル・エレクトリックの3グループにほぼ絞られている」



 「ええーっ。ちょっと待って。
    エネルギー産業の基幹技術を牛耳るって、
    ちょっと昔のSFだったら世界の支配者クラスじゃん」




「知らなかっただろ?
 日本のメディアはなぜか日本の優れた部分を報道しない。
 確かに謙譲は日本人の美徳ではあるが、いたずらに社会を不安にさせ、消費を低迷に向かわせるマスコミこそ、この不景気の立役者だよ。
 
 具体的な健康被害など全くなかった日本企業の賞味期限や産地の偽装を狂ったように叩いていた矢先に、某国の毒製品で世界中に被害者が出たときは、何のコントかと思ったね。

 しかもそういった風評被害が回り回って自分たちの首を絞め、
 広告収入激減、大赤字で、ゲーム業界とは比べものにならないぐらいヤバい状況


 「普通に考えて、真っ先に不景気のアオリを受ける業界だよね……
    なんでそんな自爆テロみたいなことやるの?」




「さあねぇ。  アホだからじゃないの?


 地デジのデータ通信とかも、色々と面白い連動のさせ方が出来そうなのに
 まだまだ生かし切れてない。
 ゲーム業界の方でも、TVの活用にまだまだ慣れていないってのもあるかもしれないけどね。
 印象に残ってるゲームCMって、歴代ドラクエとピクミンの歌と、
 湯川専務がリヤカー引いてるヤツせがた三四郎ぐらいだし」



 「あのころのセガとソニーのCM合戦は面白かったよね」


「腐っているとは言え、まだまだTVという媒体の広告効果は絶大だ。
 昨年で言えば、マーベラスエンターテイメントなんかは、
 自社が提供するアニメ枠のCMを効果的に使ってると思ったな。

 あとは、パチンコやサラ金のCMはバンバン流すけどゲームは悪
 という風潮さえ何とかできれば、また新たな未来が開けると思うんだけど、
 TV界の体質は、本当に全く自浄作用が期待できないからなぁ……」



 「こないだSMAPの特番を喜んで見ていた人が言うセリフじゃないよねっ!」



「さて、続く“地”“人”については、次回(下の2)で!」


 「(下)でまとめろよ! 計画性ないな!」



つづく


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この記事へのコメント
ものすごい寝ぼけた計算間違いしてて、書いてる途中で直したつもりが直ってなかった。
ミスで一回中篇消しちゃうし…
Posted by 白川嘘一郎 at 2009年02月02日 20:20
サー…、この長い耳のナマモノはなんです?
Posted by アフリカのグラナダ神 at 2009年02月04日 08:09
謎の存在です。
長い耳は、苦しむ人々の助けを求める声を聞きつけてはほくそ笑むためのものです。
Posted by 白川嘘一郎白川嘘一郎 at 2009年02月04日 16:49
 
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