れとろげ。

ファンタジー風創作小説『ようこそ麒麟亭へ』

2009年10月16日

ちょっとヤバくなってきた? 日本ゲーム業界


「今年の2月に、私はこのブログにおいて
 『本当はヤバくない日本ゲーム業界』と題して色々と書いてきたが、
 それから半期を経過して、状況がどのように変化したか見てみようと思う」




 「というわけでまた久しぶりに出番だよっ。


2009年度上半期のゲーム市場規模は前年度同期比10.5パーセント減
http://www.famitsu.com/game/news/1228077_1124.html


エンターブレインは2009年度上半期(集計期間:2009年3月30日~2009年9月27日)の国内家庭用ゲーム市場規模を2137.8億円と発表した。これは2008年度上半期(集計期間:2008年3月31日~2008年9月28日)の2388.7億円の89.5パーセント(前年度同期比10.5パーセント減)に当たる。ハードの市場規模は808.6億円(前年度同期比15.1パーセント減)で、ソフトは1329.1億円(前年度同期比7.5パーセント減)。ともに前年度同期の数字を下回る結果となった。


   このニュースを見て、あわてて言い訳しようってわけだね! 」




「まぁ、ちょっと黙って聴きなさい。

 3月末から9月末というこの集計期間を見れば、
 400万本を出荷したあのドラゴンクエスト9が、当初は3月・後に7月発売予定となったことを受け、
 多くのタイトルがこの時期の発売を避けたということの影響があるのではないかと考えられる。

 比較対象の昨年度上半期は、
  『モンスターハンターポータブル 2nd G』『ポケットモンスター プラチナ』『マリオカートWii』
 年間売上でベスト5に入ったダブルミリオンタイトルのうち3本が上半期に発売されているし。



 「なるほど。でもどんな要因があったって
    とりあえず10.5%減っていう数字は事実じゃん?」





「そうだね。では、こういう数字はどうかな?


2008年の年間ゲーム市場規模は、ハードとソフト合計で約5826億1000万円。これは2007年対比で84.7パーセントの数字となっており、昨年と比べて市場規模が減少するという形になった。エンターブレインではこの減少について、据え置きハードの市場で新世代機の普及がひと段落したことが要因であると分析している。
http://www.famitsu.com/game/news/1221045_1124.html



 「去年も前年比で16.3%も減少してたの!?
    大変だ、ゲーム業界はもう終わりだ!!」





「落ち着きたまえ。続いてこれだ。



「ファミ通」を出版するエンターブレインが10日発表した2006年のゲームソフトとゲーム機本体を合わせた国内家庭用ゲーム市場規模は、ニンテンドーDSの大ヒットを受けて売上高が前年比37.6%増の6258億円と、1997年に記録したピーク5332億円を大幅に塗り替え過去最高を更新したそうです。
http://www.inside-games.jp/article/2007/01/11/19850.html


 2008年1月7日、エンターブレインは、2007年の国内家庭用ゲーム市場に関するデータを発表した。発表によると、2007年の国内家庭用ゲーム市場規模は約6876億6000万円。これは過去最高の数字となる。なお、集計期間は2007年1月1日~2007年12月30日。
http://www.famitsu.com/game/news/1212867_1124.html





 2005→2006で37.6%増
 2006→2007で10%増



 つまり、ここ数年のゲーム市場は、次世代機の登場と携帯ゲーム機の普及によって空前絶後の増進を遂げた。
 そのピークが一段落して、ゆっくりと安定ラインに戻ってきたということなんだよ。

 ちなみに、比率の単純計算でドンブリ勘定してみると、1.376×1.1×0.847×0.895で、
 2005年から比べると、今年の市場はおよそ1.14倍(14%増)という計算になる」



 「……へー、そうなんだ。
    数字って、見方によって全く印象が変わるから怖いね」



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2009年06月25日

ゲーマーたちへの愛と業(後編)


ソフト会社と小売店の険悪な関係 日本のゲーム産業の課題(2) :IT-PLUS
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000016012009&cp=2

 日本のゲーム産業では、在庫リスクを小売店が負う形になっている。通常、一度仕入れたゲームは小売店からゲーム会社に返品できない契約である。小売店に出荷した段階で、ゲーム会社は確実に収益を得られるが、その先のユーザーに売れるかどうかは小売店の責任であり、売れずに残った在庫による損失は小売店がすべて被る。小売店側へのマージンは少なく、10本仕入れて1本残れば赤字といわれる。

(中略) 
 
 一方、小売店の力が強く返品が完全に認められている北米では、こうしたことは今後も起こりえない。大手パブリッシャーでなければ在庫リスクを負うことができないからだ。

 日本では結局、在庫リスクを誰に回すかという駆け引きのなかで小売店への押し付けが起き、小売店はそのリスク回避のために中古を販売し、結果として新品が売れずにゲーム会社の収益が伸びないという、産業としては誰の得にもならない状況を招いている。






■ダウンロードコンテンツの先駆者

前回の go に続いて、今度は i のほうのお話。

と言ってもDSのほうじゃなく、新機種3GSが明日6/26に発売されるiPhoneのほうね。

海外では、ゲームをダウンロード販売できる媒体として、このiPhoneの人気が高まっているのだ。

上で引用したように返品が認められている北米市場などでは、
大企業でなければゲーム開発のリスクを負い切れなかった。

ところがiPod touch、iPhoneの普及によって、
小規模でも開発ができ、手軽に配信できる環境が整ったことで、
専用のアプリやゲームが爆発的に増えてきている、というわけ。

あちらでも大作主義が行き詰まりはじめ、
日本から数年遅れで携帯機バブルが到来した状態と言えようか。

「PSP go」の仕様も、
海外市場においてiPhoneのダウンロードスタイルを意識すると同時に、
返品によるロスを削減しようという意図があるとも考えられる。

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2009年06月22日

ゲーマーたちへの愛と業(前編)

今月、ゲーム業界を騒がせた話題と言えばやはり、
E3で発売された「PSP go」

まずはその外観が目を惹くが、この機種の本質は、
従来のようなディスクやカートリッジを完全に廃し、
データのダウンロードのみに特化したことにある。

このため、ゲーマーや小売店の間では、「SCEIは小売店を切り捨てるつもりなのか」
と危惧する声が上がっている。




(画像は非合法ファミコン互換機FC MOBILE)   続きを読む


2009年02月13日

番外:日本が抱える借金?

「仕事に追われている間に、DQ9延期のニュースで騒ぎになっていたね。
 まぁ並の企業なら、クオリティに目をつぶってでも3月末の決算までに売るところが
 延期できるということはまだ余裕があるんだなー、と」


 「ドラクエが発売延期するうちは日本のゲーム業界は安泰ってことだね!」



「小売店は大迷惑だろうけどな。

 そんな一方で、マスコミが日本の危機を煽る定番ネタである“日本の借金”の最新データが発表されたので、
 今日はそれについて少し語ってみようと思う」


日経ネット:「国の借金」846兆円に 08年末、1人あたり663万円

財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計した「国の借金」が2008年末時点で846兆6905億円になったと発表した。
昨年9月末に比べ3兆4111億円増加した。

1人当たりの借金は、09年初時点の人口推計の1億2765万人で計算すると、約663万円に達した。

国の借金は四半期ごとに財務省が公表。08年3月末に過去最高の849兆2396億円に達した後、減少が続いていた。
しかし昨年10月に成立した08年度第1次補正予算で、経済対策の財源を確保するため国債を増発した影響で、再び増加に転じた。

内訳をみると、国債は9月末に比べ1兆3087億円多い681兆5656億円。
借入金も同2143億円増の56兆2470億円だった。

一時的な資金不足を補う政府短期証券は1兆8882億円増えて、108兆8779億円となった。




 「846兆円ってすごいよね。うまい棒が84兆6000億本買えるね」



「そんなに生産してないだろ。日本をうまい棒で埋め尽くす気か」


 「でも実際、それだけ莫大な借金を抱えてるんでしょ?」



「じゃあここでひとつ例題を出そう。
 Aさんには3000万円の借金があり、Bさんには300万円の借金があります。
 さて、ヤバいのはどっち?」


 「どっちって……10倍の借金があるAさんでしょ?」



「ではディティールを補足してみよう。
 Aさんは月収50万円の公務員で、このたび住宅ローンを組んで3000万円のマンションを購入しました。

 一方Bさんは月収10万円のフリーター。ブラックリストに載っていてアイフルやプロミスからはもう借りられないので、
 ポストにチラシが入っていた聞き慣れない名前の金融会社から300万円借りました。
 今月のバイト代は全てパチンコにつぎこんでしまい、返済期限は明日です」


 「Bさん逃げてー!!



「このように、重要なのは額面ではなく借金の性質なんだよ」
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2009年02月04日

本当はヤバくない日本ゲーム業界(下の2)

前々々回:本当はヤバくない日本ゲーム業界(上)
前々回:本当はヤバくない日本ゲーム業界(中)
前回:本当はヤバくない日本ゲーム業界(下の1)




「前回までは主に、資金源の拡大と、売上本数を増やすことを考えてみたが、
 次に利益を上げるためのもう一方の視点、『製造コストを下げる』方法を考えてみよう。
 もっともゲームの場合、コストの大半は人件費なので、その手段は限られているわけだが」


 「あっ、ここまで来たらもうわかってきたよ。

    “地”の秘策とはつまり、
    福岡のレベルファイブ、岐阜の日本一ソフトウェア
    今井秋芳監督の名古屋のSKYWALKERとかみたく、
    地価や賃金の安い地方への分散だねっ!」




「うん、まぁメーカーの地方分散もアリなんだが、
 ここはさらに先を行って、この円高を逆手にとって、いっそ海外に拠点を置くのはどうだろう。
 
 税金や人件費の安い国の都市部の一角を借り上げて“日本人ゲーム村”を作り、
 開発チームは数ヶ月単位でそこに滞在して、
 日本人と現地人7:3ぐらいで業務を行うわけだ。
 
 今やネット環境さえあれば打ち合わせやデータのやりとりにも不自由しないし、
 どうせ制作が佳境に入ったら、家なんて風呂入って寝るだけなんだから
 日本じゃなくてもどこでも一緒だろ
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2009年02月02日

本当はヤバくない日本ゲーム業界(下の1)

前々回:本当はヤバくない日本ゲーム業界(上)
前回:本当はヤバくない日本ゲーム業界(中)




 「かねてから観察眼と分析力にかけては定評のあった白川嘘一郎が
    7年の隠遁生活を経て社会知識を身に付けて帰ってきた!
    その姿、まさに希代の名軍師・陣宮のごとし!
    彼が語るゲーム業界《天・地・人》3つの秘策とは果たして……!?」




「……そうやってハードル上げるのやめて、お願い。
 て言うか諸葛亮でも周瑜でも郭嘉でもなく陣宮て。
 いや確かに三国無双でプレイヤーキャラになるのを待ち望んでるけども。

 んじゃまぁ1つ目、“天の道”から行きましょうか。
 大げさな呼び名を付けてみたけど、要するにこれが3つの中でもいちばん実現困難そうな理想論ってことなんだけどね。

 あと、空から降る電波、すなわちTVメディアの暗示でもある。




 「そうか、ニンテンドーDSもTV画面に繋げてプレイできるようにすればいいんだ!」




「タッチペンはどうするんだよ。画面のアラが目立つし。
 そうじゃなくてだな、私はかねてから疑念を抱いていることがあるんだ。
 それは、ゲーム業界とTV業界との間の深い断絶についてだ」


 「断絶?」




「だって不自然だと思わないかい?

 同じエンタメ産業でも、音楽や映画は執拗なまでにプッシュするくせに、
 ゲームに関しては、新作ハードやドラクエの発売日にちょこっとニュースが流れる程度で、
 あとはサッパリじゃないか。
 せいぜい深夜と土日朝とテレ東夕方のアニメとか、もともとゲーム寄りのコンテンツがちょこっとタイアップしてるぐらい。

 メーカーがお金を出してようやくCMを流してもらえるけど、
 内容についてはスルーどころか、犯罪が起きればゲームのせい。

 もうゲームは一部のマニアだけのものではないのにね。
 今や浜崎あゆみのCDを買う人間より、『モンスターハンター』を買う人間のほうが多いんだぜ?」



 「なるほど、言われてみればその通りだね。
    見つけたぞ、世界の歪み!
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2009年02月01日

本当はヤバくない日本ゲーム業界(中)

前回:本当はヤバくない日本ゲーム業界(上)



  「お~い、ヘタレ公爵。
    早く続き書いてよ。『シェンムー』じゃないんだからね!
    そう言えばシェンムーってGTAとかオブリビなんたらとかとかの
    いわゆるフリーローミングの先駆けだよね!」




「だって、吾郎ちゃんの仮面ライダーとか森くんの扱いとか気になるだろ」



  「SMAPとかとか、事務所が力入れずにバラエティやアニメに回されて体を張ったグループが結局ブレイクする先見性のなさとか、ゲーム業界に通じるものもあるけどね」



「ごめん、やっぱりそっちの方面はここでは深く突っ込みたくないのでゲームの話をします」


 「わかればいいんだ。

    前回の話を聞いて疑問だったんだけど、
    そもそもゲーム業界って、いや日本って本当に不況なの?」




「うーん、私に言わせりゃ、
ひたすら政治を叩いてネガティブな情報だけを煽り立て自ら消費を冷え込ませるマスコミと、
それを口実に使い税金逃れと人件費抑制に走る大企業が作り出した不景気ブームでしかないと思うけどね。
 外国と比べても、そこまで悪くなる要因が何もないんだもの。
 
 本来消費活動が最も活発なはずの20~40代にちゃんと金が回るようにすれば
景気も晩婚少子化も派遣もネカフェ難民も、
日々のニュースをにぎわす問題の9割は解決するはずなんだけど、
なぜそうしようとしないのか、私のような小物にはとうてい推し量れませんな」
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2009年01月30日

本当はヤバくない日本ゲーム業界(上)

「ゲームを愛する引きこもりの皆様、こんばんは。

 唐突だが、2009年も早や1月が過ぎ、
 オバマ大統領就任やら何やらで激動する世界の中で、日本のゲーム業界の行く先を考えてみたいと思う。

 こちらは、話の相手役として、無意識の海に浮かぶ混沌の月より召還せし魔天使ウサギエル」


 「やぁ! そんなわけで呼ばれてみたよ。
    そう言えばよくあるよね! こういう聞き手との対話形式に見せかけて
    一人で書いてるだけってブログ」




「それには2つの理由があってね。1つには論点を明確にしてわかりやすくできるから、
 そしてもう1つは、話し手の方が上位に立つことでなんとなく説得力が出るからだよ」

 
 「は~なるほど!
    ゲームメディアと制作現場の末端に中途半端に片足ずつ突っ込んだだけの下っ端の分際で、
    こうすると確かになんだか偉そうに見えるね!」




「呼んでおいて何だが少し黙れ。
 まぁ些細なことは気にしないことにして、まず順を追って見ていこうか。
 一昨年あたりからかな、日本のゲーム市場の冷え込みが激しいので、
 これからは欧米市場への展開を考えていかなきゃいけない、という意見が主流だった時期があったんだよ。
 分母の絶対数を増やせば売上げ本数も増えるだろうという考え方だね。
 
 結果から言うとこの流れは失敗に終わっているわけだが、
 ま、今だから言うが私は最初から眉唾モノだと思っていたけどね。」


 「あとからなら何とでも言えるもんね! で、その根拠は?」



「そりゃ簡単だろう。ゲームに限らず今まで、
 日本が最初から欧米をターゲットにして作って売れたものがあったかい?


 「そう言われると……無いよね



「日本人が日本人向けにコツコツ作ったものの良さを、数年~数十年遅れて理解するのが連中のパターンなんだよ。
 日本人は海外の製品の良い部分を、念やスタンド能力かと思うほどの速さでコピーするけどな。

 ハリウッド映画や洋ゲーが日本で売れるのは、単純にそれらが優れているからってだけじゃない。
 日本人の異文化に対する寛容性・適応力がハンパないからだ。
 それと同じレベルを海外市場に求めること自体がすでに間違っているのさ」

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